☆こちらは2006年9月に発売されたカオスウォーズという作品の世界観に基づくウルアリです。
さまざまな世界(作品)から召喚された登場人物たちが、世界の歪みをただし元の世界へと戻っていくために戦っており、ここでのウルとアリスは初対面ながら惹かれあっております。
ようやく聞きなれてきた鳥の声に目が覚めて身支度を整える。髪を編んでまとめる頃にはもう、胸の中をそわそわとした気持ちが駆け巡る。部屋を出ればすぐに会えることくらい分かっているのに、それでもこうして気持ちが胸を焦がすのは、もうどうしようもないくらい、あの人がいとおしいからなのだろう。
12.酸いも甘いも
目の前に広がるのは、静かな海。今日は仕事も探索もなく、私は一人浜辺にいた。視線の先にあるのは水平線ではなく海の果て。今は夕暮れ時ではあるけれど陽は沈むことなく、ただその光が弱くなっているだけ。注意深く見れば、周りにある草木も、傍に落ちている貝殻も、知っているものと知らないものが混在している。
この世界に辿り着いたのはほんの少し前。あの人と出会ったのはそのすぐ後。見知らぬ世界へ来てしまった不安も、元の世界に帰れないと言われた時のショックも、あの人と過ごす日々の中ですぐに薄れてしまった。毎日いろんな姿を知るたびに惹かれていく。傍にいるだけで鼓動が早鐘のようになってしまう。
だからこそ、苦しくてたまらない。
「はあ…」
「どしたの?」
「ひゃっ」
突然の声に恥ずかしい声を上げてしまった。振り向くとそこには思ったとおり、ウルがいた
「ご、ごめんなさい、変な声をあげちゃって」
「いやいや、脅かしちゃったのおれだし、…横すわっていい?」
時々こうして二人で会話をする時があると、いつもウルは少し照れくさそう。
「ええ」
じゃりじゃりと鳴る砂の音。ウルは私の隣に、ほんの少し間を空けて座った。もどかしくて、でもくすぐったい距離。聞こえるのは波の音。すぐ傍にはいとおしい人。たちまち胸の奥から想いが溢れてくる。
「…ねえウル、わたし」
離れたくない そばにいたい でも
「アリス?どうかした?」
「・・・いえ、なんでもないの…」
伝えてはいけない、困らせてはいけない。歪んだ世界のからくりはもうすぐ解かれてしまう。私たちがそう仕向けているのだから。それが私たちがこうして集まった目的なのだから。すべき事も分かっている。けれど私は気がついてしまった、それはウルとの永遠の別れに繋がるかもしれないことを。
話をしていても、どんな世界に彼がいたのか聞くことが出来ない。もし私と違う世界だったらと思ったら、恐くてたまらなくて。でも、言葉を交わすたびに、ウルのの存在を感じるたびに、もしかしたら同じ世界なんじゃないかって、元の世界に帰ろうともこうして、私の隣にいてくれるんじゃないかって、錯覚してしまう。
そんなことわからないのに
ウルと同じ世界かなんて、今こうして隣にいるウルとまた傍にいられるかなんて全然判らないのに。
さざなみが、鳥の声が、今はとても遠くに聞こえる。ねえウル、明日も貴方に逢いたいの。でも、明日なんて来て欲しくないの。
++++++++++(08.06.14)
どんな話を書こうか悩んでいた頃に、カオスウォーズ熱が再発し、ようやくクリアしたので、そのときの妄想をネタにしました。実際、二人の世界が一緒であったのかはカオスウォーズ本編では語られず(というかエンディングがごにょごにょ)今現在も悶々としております。
結構このネタが個人的においしいので、もういくつかカオスネタを書くかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
(14.09.15/加筆修正)
